最近EU(ヨーロッパ連合)のリーダーの方々と会う機会が多くなった。

一昨日は在日スイス大使と夕食を共にした。又昨夜はドイツ医学会の大御所のプライベート・ディナーに招かれ、散々アメリカの「悪口」を聞かされた。驚いたことに、私の持論と同じく、「アメリカと中国を制することが出来るのは日本だけ」と言ったのには驚いた。

「日本は分かっているのか」とも言い、又「日独同盟」が必要になってきたとも言う。上質のワインを飲みながらフランクな話をしたが、ドイツ人と日本人は実によく似ていると感じた。

私が「アメリカのテロに対する戦争宣言はローソクの最後の炎だ」と言ったら膝を叩いて喜んだ。さらに「アメリカを潰せるのも日本だが救えるのも日本だ」と言うと、いきなり、「ミスター・マスダ、君は今すぐシュレーダー(ドイツの首相)に会うべきだ。今電話をして会う日を決めよう」と言う。せっかちな人だ。

「来年の2月なら何とか時間が取れるので、シュレーダーさんも忙しいだろうから、そう慌てないでください」と言っておいた。

バーで飲んでいる時もホテルの係りがものすごい神経を使っているので相当な人物だと思った。どうもドクターは隠れ箕らしい。

クロ服が受話器を恭しく持ってきた。何やらドイツ語で話していたが、「ミスター・マスダ」と言っているので私のことを話しているなと思っていると、私のほうを向いて「ベルリンの市長が君に挨拶したいと言ってる」と言っていきなり受話器を渡された。

市長はかなりなまりのある英語で「親愛なるミスター・マスダ。あなたはすばらしい日本人だと友人から聞いた。是非ベルリンに来て欲しい。いろいろなこと、特にアメリカのことで意見を交わしたい」と言う。

「犬も歩けば棒にあたる」とはよく言ったもので、何処でどんなことになるか分からない。この調子だと世界をひっくり返せるかも知れない、などと思いながらワインを楽しんだ。

―――こういう暴言もいいのでは?

(2004年12月07日)