第351号  (2006年04月3日 国会議員号)

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お笑い出直し民主党?

偽メール問題で引責辞任をした前原代表の後任選びで、党内グループの動きが活発になっている。日曜のテレビで前原代表と渡部国対委員長は「民主党は寄り合い所帯」と公言した。当のテレビ番組で「辞任にあたって何か残念なことはないか」と聞かれると、前原は「党としての国の安全や外交の指針が打ち出せなかったこと」と答えた。寄り合い所帯を自認する民主党が国家の基本政策で一致できないのは当たり前。しかし前原は「誰かがリーダーシップを発揮して、基本問題についてはっきりとした党の方針を打ち出してもらいたい」と望む。今回の体たらくの原因を作った当の永田議員の議員辞職が遅きに失したことについて前原は、「永田議員は国民の付託を受けているので会社の社長が体たらく社員の首を切るようにはいかない」と言う。

寄り合い所帯の民主党には、憲法改正賛成で国民の支持を受けた者と、憲法改正反対で国民から負託された議員がいる。まさに民主党には右と左が混在しているのである。前原や渡部が言うリーダーシップで、仮に民主党が憲法改正賛成の指針を打ち出したなら、憲法改正反対で国民に負託された議員は国民を裏切ることになる。「リーダーシップで民主党を一つにまとめて出直す」とは聞こえはいいが、それはとりもなおさず「民主党の誰かが国民を裏切る」ことに他ならない。前原は国民負託の重要性を口にしながら、リーダーシップなどと意味不明瞭な言葉を使って、実は一部の国民を裏切ろうとしているのである。ひょっとすると、ご本人はそのことさえ気がついてないのかも知れない。

これは若さや未経験で済まされる問題ではない。「民主党には自民党に負けない優秀な若手議員や経験者がいる」と渡部国体委員長は言うが、何を根拠にしているのか。そんな空自慢より、民主党は一体いつまで日本の恥を世界に晒すつもりなのか。「呉越同舟」どころか「百家争鳴」の民主党が国民を裏切ることなくできる唯一の選択は「民主党解党」だ。それぞれの議員は「頭を下げて」古巣へ帰ることだ。古巣のない者は憲法改正を踏み絵にして、踏まない者は自民党へ、踏む者は社民党か共産党へ入れてもらったらどうか。

小沢一郎は民主党の代表になる意欲があるようだが、もしそうなら小沢の政権へのチャンスも関与も永遠になくなる。私は、小沢はこんな政党資格のない党の代表になって世界の嘲笑の中で埋没させるには惜しい男だと思っている。小泉純一郎と違って小沢一郎は運の掴み方が疎い。過去にも最高の運がめぐってきたのに掴まなかった。そして今や「触れてはならないばい菌」に手を染めようとする。明日でもいいから親父さんの墓参りをして忠告を受けることだ。周りの忠義ぶるシンパ(?)に耳を貸す必要なし!

国民は、民主党が今やろうとしていることは「政党資格のない党が、飽きもせずまた出直しをしようとしている」と理解すべきだ。今の民主党が政権政党になれる可能性など、太陽が西から昇るのを期待するようなものだ。民主党の議員さんや支持者の方々は本稿を読んだら憤慨するだろうが、冷静に考えてもらいたい。民主党議員さん、あなたは誰のための議員なのか、国民のためか、党のためか? 渡部国対委員長は「ここは何としても党のため」と強調するが、では党は誰のためのものなのか? いやしくも国民から信託を受けた以上、国民のために何かができる環境を、政策を共有する者たちで作るか、共通の政策を掲げる既存の党へ移行するか、今こそ決断すべき時ではないのか。若さかバカさか、経験か老骨か知らないが、最早民主党はきれい事で国民の信託を裏切ることはできない。来るべき選挙で党壊滅に追い込まれる前に、自ら解党するのが「知恵」というものだ。



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)