第357号  (2006年05月26日号)

増田俊男事務局 http://chokugen.com
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株式「夏相場」へあと一歩

私が常に口にしてきたのが「5月暴落」と「夏相場」であった。月曜日から事実上6月入りだから、荒れ狂った「5月暴落」は終わり上昇に転じる。毎年のことだが、5月暴落は「不明確要因」によるものである。米FRB新議長バーナンキの発言も「利上げ継続」とも「利上げ中止」とも読める不明確。

住宅ブームの終焉や成長の鈍化が利上げ中止を示唆する一方、物価上昇は利上げ継続要因。企業の中間決算は、業績好調と不調が交互に発表されて一喜一憂。ヘッジファンドが決算を迎えて利益確定売りを急いでいると言えば、先物で値を下げ、実は現物で買っているとも言う。全く不明確相場そのものであった。

来期(6月)からは不確定要因が消える。FOMCの利上げがあるかどうかも6月上旬で決まる。相場の主体も「売り筋」から「買い筋」に交代する。本格的「夏相場」に向けて波乱含みで移行するだろう。売買代金と出来高も暫時上昇し、仕手筋の暗躍も難しくなってくる。いよいよ個人投資家参加型のまともな相場展開になるだろう。


ポスト小泉

安倍氏が事実上出馬表明をしたが、私は「残念」だと思っている。安倍氏の父君は首相を約束されていながら叶わなかった。「なれるときになっておかないと……」が父からの教訓になってしまったのかもしれない。安倍氏はまだ若い。年齢のことを言っているのではない。2001年3月の時点で小泉首相の靖国参拝にはむしろ賛成していたブッシュ大統領が、なぜ昨今苦言を呈するのかが分かっているなら、靖国参拝に消極的でなくてはならない。

以前にも書いたように、中国の外相があえて無礼なまでの発言で小泉靖国参拝を非難するのは「何としても小泉靖国参拝を継続してもらいたい」からである。一日200件も発生している暴動のガス抜きに小泉靖国参拝がどれほど役に立っていることだろうか。中国の国体維持の最大のリスクは国民であり人心である。全国各地の愛国館で国民の反日感情を煽りながら日本の靖国参拝を罵倒することは、政府批判に向かう暴動の矛先をかわす上で絶対に必要なことなのである。

アメリカにとっても、米軍再編成の企画と日米共同戦略が確立されるまでは中国の目を靖国に集中させておく必要があった。今後は米軍主導で中国軍事包囲網が動き出すので、これをカモフラージュするためにもアメリカは同盟国日本と中国の関係改善を望む。だから最近ブッシュは小泉靖国参拝に苦言を呈するのである。

靖国に積極的な安倍の「若さ」はここにある。安倍の言動は既に進行している日米軍事同盟化の行動指針と整合しない。中台軍事衝突が起こる2012年頃まで待機していてもらいたい。



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)