第423 国会議員号  (2007年8月02日号)

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緊急経済直言

何度も言わせていただくが、私は6月初旬から本誌で3回、他の講演や勉強会やセミナーで日米の株価について「警告」を発してきた。「18,000円台で利益確定し、現金枕に10月まで休憩」!と言い続けてきたのである。色々な経済セミナーで、10月までの株と為替の動向とその理由を詳しく説明してきた。ここのところニッケイ平均が短期間に最高値から1,500円も下がっている。


私の相場論

アメリカに端を発した今回の株価暴落は、サブプライムローンの焦げ付きで信用不安が拡大したことが主な原因だと言われている。その理由を否定はしないが、もっと相場の根本的な要因から見る必要がある。説明を分かりやすくするためにいつも例に使うのだが、株式市場を一種の「タライ」だと考えていただきたい。

タライの外から水が入るとタライの、水かさが増す。すなわちダウは上昇する。逆にタライから水が外へ出て行けばダウは下落する。「外」とは、商品市場、債券市場、不動産(リート)などの市場である。好況時は「外の外」、つまり預金という水がすべてのタライに入るので全市場が活況し上げ相場となる。しばらくするとあるタライ、例えば商品市場のタライから株式市場のタライへ水が移りだす。NYダウが14,000ドルを超えた時はすべてのタライから株式市場へと水が移動していたのだ。

しかしどんなタライでもキャパ(限界)があるから、水が入り続けるとやがて満杯になって溢れ出す。満杯になると水が増える可能性はなくなり、減る可能性だけとなる。一般の投資家はタライから少なくとも一滴の水が零れ出すまで満杯を知ることが無い。本物の専門家は何月何日に満杯になるかを知ることが出来る。

私は、私なりに色々な指標や「相場の雰囲気」を肌で感じることによって満杯時を知ることがある。連続三回の警告はこうして発せられたのである。だから、サブプライムローンは「後付け理由」(結果が出てから理由を説明する)である。私は相場については「現実論者」なので「下がった後何故下がったかなど説明しても意味が無い」という立場である。


何故10月なのか

私が昨年から口癖のように言っているのが、「2007年10月は日米経済がひっくり返る」「そのため相場に大変動が起きる」、の2点である。これは丁度私が2001年2月以来9月11日の同時多発テロを予見して、「9月12日の前にアメリカにドンデン返しが起きる」と言い続けたことに似ている。

今日の市場を見ていると、米経済が両国の財政・金融政策に関わりなく、今まで好況を牽引してきた要因が自律的に、しかも徐々に大きく変わろうとしているのが分かる。いまの相場を動かしている「自律力」をイメージするなら、丁度上から30度くらいの角度で直線が下降しながら、下から同じく30度くらいの角度で上がってくる直線と交わろうとしているといったところである。水(マネー)の動きは「為替」に現れる。上昇直線を長期安全投資を目指す日本の生保や機関投資家と置き換える。下降線を市場の不安定化(タライから水が大量に出たり入ったりする)のため資産(株、債権、不動産等)を売って返済を急ぐファクターに置き換える。安い円を借りて米資産に投資していたヘッジファンドがドル(資産)を売って円を買って返済に回ると円高になり、円高になると日本の生保がこの時とばかりにドル資産(ドル)を買う。

こうしたシーソーゲームで為替が動いている時、アメリカで信用不安が起きるとどんな現象が起きるだろうか。又、こうした時に、異常にはねあがっているタイのバーツが暴落したらどうなるか。こうした地球上でのマネーの流れを宇宙から眺めれば何時何が起きるか分かるような気がする。今日はここまでにして、次の機会に述べることにする。



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発信者 : 増田俊男
(時事評論家、国際金融スペシャリスト)