第546号(2009年09月28日号)

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日米不平等条約(日米安保)とGHQ占領下憲法(現行憲法)を解消できるのは吉田〔茂〕系か鳩山〔一郎〕系か?

(本稿はある自民党国会議員の機関紙に掲載される原稿に手を加えたものです)

自民党の敗因

今回の総選挙で自民党は大敗を喫しましたが、私のアドバイスを聞いてくださっていたらと残念に思っています。自民の大物古賀選挙対策本部長が東国原知事に会って出馬要請をした際、「自分を首相にしてくれるならお受けしてもいいですよと言いました。」と東国原知事はテレビで告白していました。そこで私は早速ある筋を通して自民党首脳部に「今すぐ東国原知事を総務大臣に任命して、急いで地方分権選挙の準備にかかるべきだ。」とアドバイスしました。早速反応があって東国原総務大臣のうわさが一部マスコミに流れました。東国原知事を先頭に立て、橋下大阪府知事をはじめ、全国の地方分権化指向の知事を動員して「地方分権選挙」を展開したら結果は逆転していたでしょう。「地方分権で日本を変える」、「地方が霞ヶ関を支配する」、「日本再生は地方から」、「民主独立日本は自民党の手で」と小泉チルドレンに東国原チルドレンを加えて戦ったら自民党は完勝、民主党は完敗したでしょう。自民党の地方分権化選挙戦略の前に、民主党の理由なき政権交代の声は打ち消されたでしょう。東国原知事に頭を下げたくないなどと言う前に先ず大事なことは選挙に勝つことではなかったのでしょうか。戦後長期間日本の政治を支配したワンマン吉田茂は鳩山一郎に公職追放が解除されたら自由党総裁の座を譲ると約束し保守勢力を結集することに成功しました。ところが追放解除後の結果は吉田続投でした。今回の総選挙で、自民党は負けるべくして負けたのです。

時流に乗った民主党

オバマ政権になってアメリカは大きく変化しようとしています。9月23日の国連総会でオバマ大統領は、「世界の政治・経済問題はもはやアメリカだけでは解決できなくなった」と述べ、また25日のG20では、「西欧主導のG8ではもはやグローバル時代に対応できない。G20を国際意志決定機関として定期化すべきだ」と述べ、中国を筆頭とした発展途上国や後進国の国際発言力増大を提案、各国の賛同を得ました。
ブッシュ政権までのアメリカは世界に対して責任を持つことを国是とし、国民もそれを誇りにしてきました。オバマ大統領はアメリカの国家指針を大きく変えようとしているのです。
4,000万人になんなんとする無保険者に国家の保険を与えようとするなど国内経済と福祉に政治の重点を移しています。アメリカの国益概念を世界に対する責任(戦争)から国民に対する責任(福祉)に換えようとしているのです。鳩山由紀夫は今までの自民党政治はアメリカ追従政治だったと批判、現行憲法はGHQの日本統治のため手段でしかなかったと考えます。インド洋のアメリカ等への石油供給も反対してきました。もし今ブッシュ政権〔力の政策〕であったなら鳩山の主張はことごとくアメリカと対立し鳩山政権誕生で日米関係は険悪な状態になったでしょう。オバマ大統領はチェコとポーランドに設置予定のミサイル防衛基地を突如取り止めにし、ブッシュ時代のロシアとの緊張を取り除きました。オバマ政権で従来のアメリカの力の政策は終わりを遂げるでしょう。こうしたアメリカの変化のため、はからずも鳩山の主張から日米関係悪化の懸念が消えたのです。かつて反共のシンボルであった吉田茂の不倶戴天の敵鳩山一郎は、吉田の「バカヤロー解散」(昭和28年2月28日)後、政権の座に着くやいなや、米ソ冷戦の最中にも関らず共産ソ連に接近、日露共同宣言(昭和31年10月19日署名)を締結しました。アメリカ一辺倒の吉田政権からの180度の政治指針大転換でした。今回の鳩山政権誕生を見るにつけ、正に歴史は繰り返されるものと痛感しました。国民にそれほど世界の潮流や歴史的宿命感があったとは思われませんが、しかし国民の選択は実に恐ろしいほど的確でした。経済、政治力が低下して行くアメリカの変化に乗じて日本政治に自主独立のチャンスを与えたからです。自民党は、昭和の不平等条約が真実である日米安保を「日本の安全の要」などと、戦後の保守本流の価値観を今なお持ち続けるようでは時代から、世界から、国民から見捨てられるでしょう。
自民党は日本を自主独立国家にすることを党最大のマニフェストにすべきです。自民党が民主党に勝てる最大の要因は、民主党には憲法改正反対勢力が根強く存在している事実です。国民に、日本を自主独立国家にできるのは自民党でしかあり得ないことを訴えるべきです。これ以外に自民再生の道はあり得ないでしょう。それとも鳩山系(党人派)の流れを継ぐ自民党議員〔落選議員を含め〕は次回参院選で民主党から立候補、当選して(当選確実)、鳩山の理想を支えますか。また小沢は鳩山の理想、日本の理想実現のため、今こそ自民党との大連合を実現し、民主党から護憲派を追い出すべきです。とにかく小沢の責任は、一糸乱れず日米不平等条約(日米安保)と対日占領憲法〔現行憲法〕の破棄または改正できる挙党一致内閣を造ることです。二大政党など西洋文化の聞きかじり論など耳を貸す必要はありません。
いずれにしても、戦後の日本を終わらせる者が日本の指導者になる時代がやってきたことを知るべきです。

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