第644号(2011年4月7日号)

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ドルは崩壊する!?

ドル崩壊の第1ページはニクソン大統領が突如ドルと金の交換制を廃止すると宣言した1971年8月15日に始まる。
戦後(ブレトン・ウッズ体制の下で)ドルが世界の基軸通貨となったのはご存知の通り。一国の通貨が国際取引(貿易)の使用通貨になるからにはそれなりの責任と特権がある。「米ドル35ドル払えば1オンスの金がもらえる」ことをアリカが保証することが基軸通貨国としてのアメリカの責任であった。
特権は言うまでもなく第三国間の国際貿易の決済がドルで行われることである。それが何故特権かは(本誌で何度も述べた例えの通り)中国と日本の貿易取引額だけドル需要が増加する点にある。アメリカは国際交易で創造されたドル需要分だけのドルを増刷してもドルの価値は下がらないからアメリカはその分を借金返済に使える。自分の借金を他人に払わせる特権と言えば分かり易いだろう。
世界に経済大国として君臨する唯一の条件は世界の基軸通貨国になり世界に自国の借金を払わせることである。しかしそれには大変な責任と義務があるのはこれまた当然である。ニクソン・ショック以前のアメリカは保有する金の範囲内でしかドルを発行出来なかったからアメリカはインフレになることもなく財政は健全そのものであった。ところが無責任にも、米ソ冷戦のための増大する軍事費や国民の贅沢好み(増大する消費)のため1960年後半になるとドル増刷に走ってしまった。1970年代に入ると日本や西ドイツ等は目覚ましい経済復興を遂げ国際収支(貿易)の黒字とそれに伴う外貨準備(ドル)を増大してきた。
アメリカが保有する金に見合う以上にドル乱発をしていることが分かったので当然のことながら外貨準備国(ドル保有国)は一斉に手持ちドルを金に交換し始めた。アメリカはこの動きを放置すると保有している金が無くなってしまうので、先ず日本に対して外貨準備の10%以上のドルと金の交換を禁止(今なお有効)した。ところがフランスをはじめヨーロッパ勢の金買い攻勢を止めることは出来なかったのでついにニクソン・ショック(ドルと金の交換廃止)となったのである。
その後1985年のプラザ合意(100%以上の円高容認)、1987年10月19日のブラック・マンデー(NYダウ23%暴落)を経て今回2007年末からの金融恐慌を経験しドルの信認は低下し続けている。特権だけ享受して義務を果たさないドルは正式な基軸通貨とはなり得ず崩壊しても不思議ではない。にもかかわらずドルが未だに崩壊しないのは、いまだに世界貿易取引の約50%はドルが取引通貨になっているためドル需要が創造され続けているからである。
ところが年々世界貿易におけるドルのシェアーは落ち込んでいるのにドル乱発は止まるところを知らない。だからやがてドルが名実ともに崩壊するのは明白なのである。
私の「時事直言」の英語版を読んだワシントンDCのシンクタンクの友人が、増田さんのドル崩壊論はよくわかるし誰でも言っていることだ。
増田さんはドル崩壊を救うアイデアをお持ちではないのですかと聞いてきた。
そこで、おそらくいかなる政治指導者、経済専門家、アナリストも知り得ない唯一、確実なドル救済の方策を氏に条件付きでお教えした。
その成功の条件とは方策の実行を市場に悟られないことだ。
氏はやがてアメリカの救世主になるだろう。
今回発信中のCD/テープで私は(密かにではなく)大きな声でドル救済論を述べることにした。



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