第675号(2011年9月21日号)

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歴史は繰り返されるか?

1998年8月アフリカのケニアとタンザニアのアメリカ大使館が同時爆破された。
2001年9月12日同爆破事件の容疑者9名(アルカイダ一味とされていた)の裁判がニューヨーク地裁で開かれることが決まっていた。
2001年9月11日容疑者9名の弁護士達は無罪を証明する数多くの証拠を携え証人等と共にニューヨークのワールド・トレード・センターにおいて早朝から翌日の裁判の打合せをしていた。


今週9月23日から国連総会が開催される。
パレスチナ自治政府は国連加盟申請を国連事務総長に提出すると発表している。
事務総長はパレスチナからの申請を安全保障理事会(安保理)に付託する予定である。
15か国で構成される安保理は、もしアメリカが拒否権を行使しなければパレスチナの国連加盟を国連総会に勧告をする。
もしアメリカが拒否権を行使すればパレスチナの国連加盟は実現しない。
安保理の加盟勧告が拒否された場合、パレスチナは現在の「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」への格上げ申請を国連総会に求める。
国連加盟国193カ国中126カ国(65%)がパレスチナの国連加盟に賛成しているので過半数以上の賛成でパレスチナはオブザーバー国家に格上げされる。
パレスチナがオブザーバー国家になるとパレスチナは国連刑事裁判所に1967年の中東戦争でイスラエルがパレスチナから取得した地域(ガサ、ウエスト・バンク、エルサレムの一部)はイスラエルの侵略行為によって奪われた領域であるとして返還請求を求め勝訴する可能性は極めて高い。(オブザーバー組織では国際司法裁判所に提訴する資格がない)
同地区をイスラエルが失うと約50万人のユダヤ人は行き場を失うことになる。


アメリカは、今までの「小冊子」で解説したように中東政策を180度変更している。
アメリカは本年5月1日のビン・ラーディン(アルカイダの象徴的リーダー)殺害をもってテロとの戦いは終了し、新たな中東戦略を推進している。
それは昨年末から本年に掛けて北アフリカ(チュニジア、エジプト、リビア等)から中東諸国に起こっている反政府、民主運動である。
民主運動の活動家リーダーたちは資金的にはイスラエル、政治的にはアメリカに支援されている。
新中東政策の目的は民主運動で統率力のある独裁国家を倒し無機能多政党民主国家を作らせアメリカで教育、訓練された、いわばアメリカの傀儡である軍部エリートに国家を主導させることである。
つまりアメリカは中東の間接支配を狙っている。


アメリカが安保理でパレスチナの国連加盟勧告に拒否権を行使するとアメリカの新たな中東戦略を支えている民主活動のリーダー達がアメリカに敵対することになり、アメリカの新中東政策は挫折する。


アメリカに残されているのは安保理での議事妨害で決議を先延ばしすることしかないが、引き延ばしにも限度がある。
第二のセプテンバー(9月?)まで延ばせるかどうかが見物である。


しかし、もしパレスチナがいまだに「暴力組織」であることが世界の目前で証明されればパレスチナの国連加盟もオブザーバー組織からオブザーバー国家への格上げにも賛成する国はなくなるだろう。
そしてパレスチナの和平はアメリカを仲介者としてパレスチナ自治政府とイスラエルとの直接交渉以外に道は無くなる。


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