第787(2012年12月11日号)
国会議員号

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日本に運命の選択を突き付けた安倍晋三!

2007年当時の安倍総理が世界に向けて戦後初めての自主外交路線、「自由と繁栄の孤」(ブッシュ大統領出席のプラハでの会合で、麻生外務大臣、谷内外務次官名のドラフトを私が発表したことがある)が内外に発表された時、日本は「敗戦国日本」から脱皮してアメリカと対等の立場に立って世界に自由と繁栄をもたらそうとしていた。日本は、後述するアメリカの軍事・経済指針に大きな影響力を持つ「アーミテージ・ナイ報告書」で二流国(tier 2 nation)から一流国(tier 1 nation)になろうとしていたのである。しかし志半ばにして安倍晋三氏は病に倒れ、またアメリカはブッシュ共和党からオバマ民主党に代わり、中国を筆頭にアジアを自由解放し、繁栄に結びつけることを目的にした日米共同戦略(アメリカは軍事等ハード、日本は経済等ソフト担当)は後退したのであった。
日本では沖縄の普天間基地の海外移転や、対中エネルギー戦略の柱となる原発を廃止しようとする、まるで日米路線から脱線しようとする民主党政権になったので日米同盟と日米世界戦略、特に対中政治・経済戦略は「漂流」した。
安倍晋三氏の選挙用キャッチ「日本を取り戻そう」とは、敗戦後の「汚名と差別」を背負ってきた日本が世界の一等国を目指す「本来の日本を取り戻そう」である。野田民主党総裁が自民党は後退、民主党は前進等と本気で言っているのは、日本を知らず、世界を知らず、日米共同戦略の裏にあるゴールを知らぬ「政治音痴の言」である。国家の指針の無きドジョウに前も後もない!
日米関係を戦後最悪にしたのは民主党の「無知」と「無能」としか言いようがない。字も書けない子供に大学の卒業論文を書けと言った国民の方が間違っていたので、民主党を責めるわけにはいかないだろう。
さて、「丸腰憲法」と言われる憲法第9条を当時の吉田内閣の抵抗にもかかわらず日本に押し付けたのはアメリカであった。今でも9条を「平和憲法」等と言って信奉する一部のマスコミと左翼勢力を日本に根付かせたのもアメリカであった。日米安保を片務条約(アメリカは日本の安全に犠牲を払うが日本はアメリカの危機に際して安全保障活動をしない)にしたのもアメリカであった。
ところが今やアメリカは対日政治指針を180度変更した。今まで寝かし続けてきた日本に活動させる時が来たのである。
日本の終戦記念日である本年8月15日に前述の「アーミテージ・ナイ報告書」が発表され、今後アメリカの軍事・経済戦略の中心をアジアに移すことが明確にされ、アジアの繁栄が日米の最も重要な利益であると銘記、「日米同盟関係は対等でなくてはならない」、「日本が日米安保を基盤にアジアに確固たる地位を確立すること(一流国になること)」、「日米は2020年に向けて共通の戦略を共有する」、「対中国経済戦略の中心になるTPPを日米共通の戦略とする」、「日米エネルギー安全保障上の観点から原発稼働率を高める必要がある」等を挙げている。「日米対等」とは集団自衛権と憲法第9条改正を意味し、日本が「アジアに確固たる地位を築く」とは日本が積極的にアジアに民主化と自由化を推し進めることで繁栄をもたらすこと、すなわち安倍内閣の「自由と繁栄の孤」の事。「2020年に向けての日米共通戦略」とは「2020年までに中国の民主革命を成功させる」ことである。ジョセフ・ナイ氏は多くの政治家を輩出しているハーバード大ケネディ行政大学院の院長で、非公式ではあるが、中国の民主革命を成功させるには硬直かつ好戦的な中国人民解放軍を日本の「軍隊」に叩かせるのが本筋であるとの主張を繰り返し、アメリカ議会の過半数の超党派議員達はこぞって賛同している。2020年までの「中国の民主革命」と「中国人民銀行(通貨発行権を持つ中央銀行)の独立制と日米によるコントロール」が日米共通のゴールであり、中央銀行のコントロールは中国繁栄のパイの日米共有の保証に繋がる。日米の対中戦略のゴールとは正に自民安倍晋三氏の「自由と繁栄の孤」の実行に他ならない。アメリカや日本のような先進国の経済成長は止まった。
これから生まれ来る子孫の安全と繁栄を保障するのが現在の我々の使命なら、我々は誰もが忌み嫌う戦争と言う犠牲を払ってでもアジアを、また中国を民主化、自由化し、繁栄をもたらす必要がある。アジアの繁栄のパイ無しに日本の子孫の安全と繁栄は無い。ハワイの442ニッケイ二世部隊のヨーロッパ戦線における死闘(Go for broke)と犠牲で日本人に対するアメリカ社会の差別と「いじめ」に終止符が打たれた。そればかりかルーズベルト大統領のニッケイ差別に対する謝罪にまでに及び、以後全米で日系人の地位は向上した。議会でもヨーロッパ戦線で片腕を失った民主党の超大物ダン・井上上院議員に白人議員達は頭が上がらない。
日本が鳩山由紀夫氏(元首相)の言う安易な「アメリカの属国」を続けるなら日本がいくらアジアの民主化と自由化に努めても「アメリカの使い捨て」に終わり子孫を消滅に向かわすことになる。アメリカと対等となって世界を繁栄に導き、世界が、また子孫が誇る日本を創るのか、しかしそれには戦争と言う大きな犠牲が伴う。今我々にその選択が求められている。


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