第944号(2014年11月10日号)

増田俊男事務所 http://chokugen.com
携帯サイト http://mobile.chokugen.com/

国民は「ゴミ」なのか?

もう飽きたでしょうが、またもや黒田日銀総裁の、10月31日のバズーカ砲炸裂という追加金融緩和のお話。
黒田総裁は9月の日銀短観で「日本経済は緩やかであるが回復に向かっている」と言った手前、まるで不況突入時のような大型追加緩和策は筋が通らないので、「原油価格がこのまま下がり続けると物価下落の圧力になるので事前に手を打った」と説明して来た。
金融のプロの黒田総裁でなくても多少グローバル経済の認識があれば「急激な円安政策を採れば日本から資金が欧米、特にアメリカに逃げ去る」ことは誰にでも分かる。
福島第一原発事故以来エネルギーの24%を依存していた原発が稼働停止になり原油と天然ガスの輸入急増で貿易赤字が天文学的に膨張、エネルギー・コスト急増で企業と国民の電気代値上げとなったところへ4月からの消費増税。これで4月から家計支出‐19.2%、民間住宅投資‐35.3%、民間設備投資‐9.7%と落ち込んでしまった。こうした日本経済がマイナス成長に直面している時の「原油安」だから企業にも国民にも正に神風だった。
経済の米であるエネルギー・コストが下がるのだから企業にも国民、消費者にとっても朗報。ところが黒田総裁が掲げた「2%の物価上昇にとって都合が悪い」という理由で大型追加緩和発令。わずか3日で5%も円安になり結果企業のエネルギー・コスト増、国民家計が圧迫される羽目となった。喜んだのは金融緩和を止めたその日から資金が日本から流れ込んで来たアメリカ。さらに飛び上がって喜んだのは、黒田バズーカ炸裂後のわずか3日間で個人資産が2,300億円増えたファースト・リテーリングの柳井氏、210億円増のソフトバンクの孫氏、450億円増の楽天の三木谷氏等々日本の長者番付のお歴々。(数字はBloomberg Billionaires Indexから)

では日本の働く国民はどうか。黒田異次元緩和後月収は15か月平均で2.9%の連続減少。
年初来アメリカの時間給がインフレ率より上回っているのがうらやましい限り。
エネルギー・コスト高、消費増税、おまけに所得減で弱り切っている国民に、せっかく安くなった原油を追加緩和で吊り上げるとは、いくらアメリカや千から数百億円長者を喜ばす為とは言え、あまりにも残酷ではないか。日本のマスコミには到底考えつかぬ質問をあるアメリカの親日記者が黒田総裁にした。「黒田総裁、原油価格下落でエネルギー・コストが下がれば国民生活に余裕が出来て可処分所得が増えるから消費が伸び、結果あなたが掲げる物価上昇につながるのではないですか」と聞いた。ごもっともな質問である。黒田総裁の答えに記者は「絶句」したと言う。「私は日本の国民を信用していない!、、国民は可処分所得が増えても消費なんかに使いませんよ、預金するだけです」。だから黒田総裁はモノとサービスの需給ギャップがマイナスなのに円安(貨幣価値下落)で強引にスーパーの正札価格を上げ、インフレ率2%達成で英雄になろうと言うのか?円安の結果による電気代、ガソリン代、輸入食料品価格増を喜ぶ国民は誰一人としていない!
黒田総裁様、あなたが物価を上げて英雄になるのは結構ですが、国民はどうなるのですか?国民は「ゴミ」ですか?
注)「ゴミ」と言う言葉を使ったのは日銀の支配下の銀行窓口の重要な仕事は、入って来る客を「ゴミ」かどうか見分けることだから。

※現在小冊子Vol.61は完売御礼となりましたのでコピー版で送付させて頂いております。希望の方は増田俊男事務所までお申込みください。




増田俊男への講演依頼 受付中!
増田俊男事務所は依頼講演を承っています。
国際市場経済、政治、経営戦略等多岐にわたる「目からウロコ」の内容です。
お問合せは、増田俊男事務所(03-3955-6686)まで


増田俊男のラジオ放送、大好評放送中!
増田俊男の「逆手で勝つ!」〜日本復興のために〜(ラヂオもりおか)
月〜金曜日 午前8:20〜8:29
*インターネット生放送(サイマルラジオ)は下記URLから「ラヂオもりおか」をお選び下さい。毎日生放送でお聞き頂けます。http://www.simulradio.jp/
*ストリーミング放送は下記URLから1週間分をお聞き頂けます。
http://radiomorioka.co.jp/streaming/sakate_katsu/ (毎週土曜日更新)



*増田俊男のプライベート・コンサルティング【面談・電話・FAX・e-mail】のご案内。

 お問い合わせは、増田俊男事務所(FAX:03‐3955-6466 メール:info@chokugen.com )まで



「時事直言」の文章および文中記事の引用ご希望の方は、事前に増田俊男事務所(FAX 03‐3955-6466)までお知らせ下さい。


前へ 平成26年度 次号へ
株式会社増田俊男事務所
FAX:03-3955-6466
e-mail : info@chokugen.com