1054号(2016年2月16日号)

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(アメリカ経済のための)マイナス金利本日開始!

黒田日銀総裁は2013年就任後「マイナス金利導入はしない」と言っていたが、量的緩和(国債買い)が限界に達したことから、発言を翻さざるを得なくなった。日本に先駆けて欧州ユーロ圏では2014年6月からマイナス金利政策を導入、‐0.1%から‐0.2%さらに現在の‐0.3%まで下げ続けている。
住宅ローン金利が下がって住宅需要が増加した例は認められるが、消費増、設備投資増や経済成長を押し上げるには至っていない。FRBは2008年から2014年10月まで三次にわたって円換算で400兆円に及ぶ緩和を行ったが、不況からの脱却、失業率10%の4.9%に下落、金融資産と不動産資産増に貢献したが経済成長に繋げることは出来なかった。
日銀はアメリカと欧州の量的緩和とマイナス金利策の結果を知りながら、追加緩和とマイナス金利政策を続けている。
1月29日の日銀のマイナス金利導入(追加緩和)による株価上昇は一瞬で以後急落。ドル・円は一瞬下がったが120円台から110円台までのドル安・円高。
FRBが利上げに踏み切った2015年12月から金融緩和に対する市場の反応が180度変わったことを知らねばならない。
以前は、雇用やGDPが予想を下回ると緩和出口延期期待で株価は上がった。
FRBが利上げモードの今日、悪い経済ファンダメンタルズは率直に株価を下げる。忘れてはならないことは、FRBは日銀等ローカルバンクの中央(親)銀行であるというドル基軸国際金融システム。親銀行(アメリカ)がクシャミをすると子供(日本)は肺炎になるのなら、親が万一の時、子供は犠牲を払ってでも親を助けなくてはならない。当然市場は世界の中央銀行(FRB)の金融政策指針に常に注目、すでに決まった利上げ政策(引締め政策)に歩調を合わせている。

FRBの利上げ後アメリカ経済にリセッション(不況)の兆しが見えはじめてきた。IMFのラガルド専務理事が「どうせ又緩和政策に逆戻りになるのなら利上げなんかしなければいいのに」と言った通りになってきた。
従ってFRBの日本支社としての日銀は、FRBに代わって利上げモードのアメリカの金利を下げ、ドル価を下げてアメリカ企業の国際競争力を高める(日本犠牲の)義務がある。本誌で説明した通りのメカニズムで、黒田総裁の記者会見(マイナス金利導入)と同時にアメリカの金利はゼロに接近(10年物米国債2.3%から1.7%に下落)、ドルは対円でも120円台から110円台のドル安になった。黒田総裁は何時もの様に(日本犠牲に)本店(FRB)の為にすべきことをした。
今後市場は日本経済、新興国(中国等)経済、欧州経済を犠牲にしたアメリカ経済浮上を期待することになる。
現在アメリカ経済は、主要企業が4%の減益でリセッション入りの可能性が出てきたが、世界経済犠牲でどこまで回復するかが市場の見どころである。
日本の株価?
言うまでもなく親(アメリカ)の健康状態にかかっている。

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