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平成30年度一覧
1250号(2018年5月25日号)
米朝会談キャンセルはトランプ・金正恩の出来レース

5月23日の米韓首脳会談で文在寅韓国大統領は米朝会談を予定通り行うようトランプ大統領に要請し、自ら米朝会談の仲介役を買って出た。しかし韓国は日本と同じく米軍(軍産)の軍事支配下にある。北朝鮮の脅威は米軍であって韓国軍ではないからアメリカに対しても北朝鮮に対しても韓国は一切発言力がなく仲介役の資格はない。軍産の一角であるCNN等メディアは「朝鮮半島の核廃絶方式はリビア方式でなくてはならない」をアメリカの世論にすることに成功している。トランプは「トランプ方式」などわけのわからぬことをツイッターに書いたが国民に支持されていない。トランプが軍産に従ってCVID方式を主張すれば金正恩が拒否し、会合は失敗、物別れになることは必至。今なお軍産が米国政治(軍事・情報)の主導権を握っている以上トランプは軍産を無視出来ない。
トランプと金正恩は、今回の会談はやめにして軍産の圧力をかわす為習近平主席を2度も訪問して復活合意した「6か国協議」で朝鮮半島非核化の協議を進めることで一致した。(本誌で述べたトランプ・金正恩の対軍産共同作戦)
金正恩は4月1日からの軍産の米韓合同軍事演習に目をつむり、3人の米国人を釈放し、予定された米朝会談前(5月23‐25日)に、日本を除く米、英、露、中、韓のメディアの目前で北部核実験施設を爆破、廃絶した。アメリカ(軍産)が強硬姿勢を崩さぬ中での北朝鮮の一方的核廃絶に向けての行動だから国際社会の好感を受ける。トランプは自らボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官に金正恩誹謗発言をさせ、これに対抗した北朝鮮の対米敵視発言を理由に米朝会談をキャンセルした。
一方金正恩はトランプの米朝会談中止通達に対して(どのような形でも)朝鮮半島非核化と平和について話し合う用意があると返答している。従来の金正恩なら「売り言葉に買い言葉」で会合を平に拒否しトランプを罵倒するところだが出来レースだから猫をかぶっている。
「小冊子」Vol.98で「朝鮮半島非核化と和平は6か国協議の場に移り、結果中国主導となる」と解説している通りにことは進んでいる。
従ってトランプの米朝会談キャンセルと株価下落は一過性(本日のニッケイは下げから上げに転じている)。
「政治とは出来レースである」という政治の本質を知らねばならない。


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