11月18日、我々二人はクリントンライブラリーの記念式典に参加した。あいにくの雨の中、アーカンソー州リトルロックに建てられた近代建築の前の特設会場には3万人の観客が集まり、なんと零度近い寒さの中で4時間にわたって全神経をイベントに集中していた。

大統領選直後だけにケリー応援でブッシュ非難を繰り返したクリントンに、ブッシュがどんな顔をするかみんなの関心だった。

まずクリントンが、「私はケリーとブッシュの両方が好きな、唯一のアメリカ人だ」と言った時のブッシュの顔は忘れられない。

あの強気なブッシュが泣きそうな顔をした。父君のブッシュ元大統領が、息子(大統領)の方を向いた。ブッシュ大統領がうなずき、スピーチが始まった。

「自分はUniterであってDividerではない」と言い切った。対立ではなく統一だと言ったのである。永い共和対民主の戦いが終わり、違いを超えてアメリカの国益追及にいまから挑む「強いアメリカ」が、雨と寒さを吹き飛ばした。

この旅で我々二人は、それはそれは多くのことを学んだ。