第476  (2008年07月07日号)国会議員号

増田俊男事務所 http://chokugen.com

米大統領選の年の下半期は株が上がる!

2008年上半期が終わった段階で、NYダウは19.87%、S&Pは18.22%、ナスダックは19.80%も昨年10月の高値から下落した。米株はピークから総じて20%下がったことになる。注目に値するのは前月6月の下落率である。なんと6月だけで総下落率の半分に匹敵する10.2%下げている。本年になってからの下落率は14.4%だから、6月だけで今年半期の下げの71%を占めたことになる。単月でこれほど下げたのは米国株式市場の歴史上3回しかない。下落率が20%に達したということは不況(リセッション)に陥ったことになるが、今のアメリカ社会に1929年の不況感はない。指標上の不況と現実の間に存在するギャップが次なるアメリカ経済下半期のヒントになるかも知れない。

経済と無関係に確率論で次なる半期を占ってみよう。丁半バクチなら、前半の終わりである6月30日は、今まで丁に9回張り続けてきた投資家にとって最後の10回目と同じ。

9回連続半だから、いくらなんでも今度は丁になると信じて最期の持ち金を掛けた結果がなんとまた半になった。10回連続半!これが6月30日の賭場(市場)だった。私が本誌で、(市場が認める)「最後の底の後にもう一度下げがある」、しかも「もう200ドル下げる」といったのをご記憶と思う。バクチで勝つ秘訣は確率50/50をやり過ごすこと。つまり前述の丁半バクチで言えば、最後の10回目をはずし、もう200ドル下げる11回目もやり過ごすことだ。下半期に入った7月1日、NYは166ドル下げたが、200ドルまで届かなかったが、まあこれから丁に賭け続けても負けることはないだろう。

バクチ論(確率論)はさておき、アメリカにはもう一つの経済に無関係の統計がある。

過去110年間、大統領選がある年の下半期の株価は平均9.7%上昇している。選挙のない年でも平均2.7%上がっている。それは民主党、共和党いずれの政権下でも、自己陣営の候補者を支援するため必ず選挙前に株価対策に力を入れるからである。ブッシュ政権が景気刺激策として約16兆円の財務省小切手をアメリカ中の家庭に郵送した結果、現在消費に効果が現れているが、ガロン4ドルのガソリン代は家計を圧迫し続け、効果は一時的に終わってしまう。失業率はより高く、所得はより低く、物価上昇が続く中で企業の業績は悪化の一途。7月に入っていったん下げた後の株価はざら場で100ドル近い上げがあったが、終値は変わらずまたは若干のマイナスになっている。下げもここまでだろうと思いながらも、今一歩先が見えないからである。FRBがサブプライム問題の後遺症で危機に瀕したアメリカの投資銀行救済のため資金供給と利下げを繰り返した結果ドル安となり、輸入コスト上昇で価格インフレが進行している。FRBは2%まで利下げをしたが、一方インフレ率は4% を越しているので通常利上げが求められるが、リセッション下ではできない相談。金融・財政政策共に打つ手もなくいたずらに時だけが過ぎているのが現在のアメリカ。

今世界の投資家はアメリカの株式市場の回復を諦めかけている。サブプライム問題の被害が最小で、浮遊資金が豊富、エネルギー効率世界一で原油高の影響が限定的、企業財務体質が最高(大手企業の4割は無借金)である日本に注目し始めたのである。それを裏付けるように連日外人の日本買いが増加している。8月から日本が世界の株価を主導し、10月前にブッシュ政権が経済刺激策第二弾を打ち出し、11月大統領選挙直前に日米株価暴騰を演じるというのが私の筋書きである。いずれにしても、不況時の大統領選は経済が決め手になるのは明らかだ。

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