第509(2009年02月09日号)

増田俊男事務所 http://chokugen.com

死に体のアメリカ経済を救う道

株価と住宅価格の暴落で受けたHouse hold(家計)の損失は約$7trillion(約690兆円)である。Home hold のHome equity(住宅の余剰担保借入)もCredit Card の信用枠も下がり続けている。借金依存家計のアメリカだから消費が減退するのは当然のこと。そして消費の現象はそのまま貯蓄の増加となっている。

消費の減退がGDP(国内総生産)の7割を消費が占める消費大国アメリカの成長を低下させる一方国民の貯蓄性向は上昇している。昨年の12月アメリカの自動車の売り上げが前年度比36%も低下したのを見ても、いかにアメリカの国民の財布の紐が固くなっているかがわかる。消費の減退は即企業の売り上げ低下、設備投資減退、人員整理につながる。いまや失業率は7.2%になり、程なく2007年のちょうど倍の8%になるという勢いである。貯蓄に回ったマネーが消費に向かうには消費者心理が大きく影響する。失業者が町に溢れる状態では消費者心理は落ちるだけである。オバマ大統領は$825 billion(約80兆円)の景気刺激政策を打ち出しているが、その内雇用増大に直接インパクトを与える学校建設、インフラ整備、エネルギー開発等に$356 billion(約35兆円)が当てられるが、2009年に使われるのはわずか7%である。オバマ景気刺激策予算は多岐に分散されていて一極集中型ではない。こうした異常な不況時にこそ雇用拡大に最も効果的な分野に財政出動を集中させねばならない。市場は今なおオバマ経済刺激策に期待をしているが、まったく的外れになるだろう。国民の金融資産と不動産資産が690兆円も失われたのに、わずか80兆円、しかも分散、長期時間差型投資では期待はずれの失望を買うだけだろう。もう一度「失望相場」が来るのではないだろうか。

諦めることもない

21世紀になってアメリカが政治経済で弱体化したのは、もはや自国の経済も政治も自国のイニシアティブではコントロールできなくなったことを意味する。本来アメリカは宵越しの金を持たないで使いまくる消費大国、輸入大国。日本をはじめアジア諸国は貯蓄大国、輸出大国である。アメリカに生じた赤字をアジアの黒字で埋め合わすことでバランスが取れ、ともに成長するパターンが定着してきた。ところがアメリカが貯蓄に走り出すと消費が低迷しアジアの対米輸出が頭打ちになる。これで従来のアメリカとアジアのバランスが崩れ、中国の成長率もいまや6%から2009年は5%になると予測されるほど悪化している。アメリカ経済の不況が止まらないとアジア経済の不況も止まらない。歴史を振り返ると、世界同時不況が止まらなくなったとき必ず世界戦争が起きている。だから私はしきりに2009年中東戦争を予告してきた。しかし戦争をしなくても不況から脱却出来る。それはアメリカには出来ないがアジア、特に日本がやれば出来ることである。この不況下でアジア諸国はダンピングしてでもアメリカに輸出しようとするが、それではさらにアメリカ経済を悪化させてしまう。そのつけはアジアに返りアジアの首を絞めるだけである。ここでアメリカではなく日本が率先して国民の所得が貯蓄から消費に向かう政策を実行すべきである。

政府は思い切った内需刺激策を打ち出し、Buy Americaを促進すべきである。アメリカの対アジア輸出が伸び始めれば、国内生産も回復に向かいリセッションの深化は止まる。アジア諸国の内需拡大政策の支援がなくてはオバマの経済刺激政策は功を奏さない。アメリカを救い、自らを救うことの重要性と使命をアジアが、日本が認識しなくてはならない。一刻も早くアメリカとアジア本来の赤字と黒字の均衡状態を拡幅しなくてはならない。

今アメリカに出来ることは戦争だけだが、アジアの責任でこれを避け、再び世界が好況へ向かう道導(みちしるべ)を日本が率先して示さなくてはならない。

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