第610号(2010年10月12日号)

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IMF(国際通貨基金)総会を終えて

10月8日、9日の2日間ワシントンD.C.でIMFの総会と並行してG7(主要7カ国中央銀行・財務相会議)が開かれた。
問題点は2点。中国の通貨価格操作と、同じく中国の$2.5 trillion(約200兆円)を超える過剰外貨準備の影響と対策についてである。
アメリカのガイトナー財務長官は通貨国の利己的為替操作や過剰外貨準備が国際経済の不均衡を生んでいると主張、為替管理の不当性を監視、責任追及できる権限をIMFが持つべきだと主張、ヨーロッパ勢も同調した。中国は、国際経済の不均衡はむしろアメリカの金融政策(金融緩和・ドル安政策)が原因であるとし、中国としては急激な人民元の変動はせず、市場を監視しながら段階的に切り上げていく方針を明らかにした。
IMFの権限についての具体的提案は11月韓国で開かれるG20での検討に持ち越されることになった。

通貨と外貨準備についての国際規制はあり得ない。

先ずはIMF 総会とG7の市場に与える影響だが、「通貨安競争はさらに激化し円高はさらに進行する」、これが私の見解である。
理由はIMFでも国連でも国際機関は各国首脳のショー・タイム機関であって問題解決の決定機能はない。IMF加盟国は187カ国あるが、先進国もあれば発展途上国もある。さらに輸出依存国(中国など)もあれば、輸入依存国(アメリカなど)もある。中国のGDPが日本を抜いて世界第2位になりアメリカとの経済依存関係(中国のアメリカの国債買い)が深まったことからIMFでの中国の発言力は日本を抜いてアメリカに次ぐ第2位になっている。
今や世界の資金は成長センターの中国や発展途上国に流入するためアジア諸国の通貨が上昇し、さらに外貨準備が増えるという相乗効果になっている。
中国は本年6月から人民元切り上げの国際的圧力を考慮し、為替変動幅を調整することで実質2.3%の切り上げを行っている。一方タイ(アセアン)のバーツは今年すでに10%上昇し、ブラジル(レアル)、韓国(ウオン)等も同じく通貨高になったため今夏からアメリカに同調して通貨安政策を採っている。
日本も9月15日、最も直接的な為替介入で急激な円高進行を一時的に食い止めたが、これも為替操作の一環であることに違いはない。正に世界は通貨安競争の真っただ中にある。今発売中の私の「小冊子」で詳しく解説しているように、アメリカの輸出倍増計画(ドル安・円高政策)と発展途上国の通貨安政策とは全く目的が異なる。アメリカのドル安政策は内需低迷の補完政策であり、アセアン諸国などの通貨安政策は対米を中心とした輸出競争力強化のためである。
またアメリカの輸出倍増計画は来年の夏からアメリカの住宅価格が本格的上昇に転じるまでのつなぎ戦略でしかない。
さらにアメリカ経済は日本やアセアン諸国のように輸出依存国ではない。
つまりアメリカの生産力はアメリカの総消費力を下回っているのである。
いわばアメリカは消費依存国であり消費大国だから、今回の輸出倍増計画も時限的戦略でしかあり得ないのである。
このようにIMF加盟国の通貨政策の目的も期限も大きく異なり、G20などで結論が出せるような問題ではない。それを百も承知でまたもや通貨問題をG20で議論しようというのだから国際会議は全てショー以外の何物でもないことがわかるはずだ。政治的にもIMFで発言力を増してきた中国がIMFに中国の主権に触れるような権限を与えるわけがないし、また市場の現実からしても中国の人民元と外貨準備高に対する国際関与など到底あり得ないのである。
従ってG20期待のドル買いは間違いで、「ドル売り」が正解。
たとえジェスチャーでも為替操作を取り締まろうとアメリカが主張する中で日本の政府、日銀が為替操作の最も直接的手段である為替介入に再度踏み切る勇気はなく、口先介入が精いっぱいだろう。従って円高阻止無しの中でドル・円75円は近い。
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